退職所得|FP3級Wiki

所得にはたくさんの種類があり、把握するのに苦労します。
退職所得は出題されやすいので特に押さえておきたいポイントです。

各種所得

所得税法では発生形態に応じて10種類に分類しており、それぞれ種類ごとに定めた計算法で所得金額を導く。

所得種類主な内容
利子所得・預貯金および公社債の利子
・公社債投資信託の収益の分配に係る所得
配当所得・法人から受ける剰余金の配当に係る所得
・公社債投資信託以外の投資信託の収益の分配
事業所得商工業、自由業、農業、漁業などの事業による所得
不動産所得不動産、不動産の上に存する権利の貸付による所得
給与所得給料、賃金および賞与ならびにこれらの性質を有する給与による所得
譲渡所得資産の譲渡による所得
一時所得営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時的な所得(クイズの賞金、生命保険の満期保険金など)
山林所得山林の伐採または譲渡による所得
退職所得退職により一時に受ける給与などによる所得
雑所得上記9所得以外の所得(公的年金の老齢給付、個人年金など)

給与所得

給与所得とは、給与、賃金、歳費、賞与ならびにこれらの性格を有する給与による所得をいう。
通勤手当(最大15万円)や職務上必要な現物給付(制服など)は非課税

給与所得の金額

給与所得は本来の収入金額から給与所得控除を引いて少なく見積もることができる。

給与所得の金額=収入金額-給与所得控除

参考:給与所得控除額の速算表

給与収入金額給与所得控除額
162万5,000円以下55万円
162万5,000円超~180万円以下収入金額×40%-10万円
180万円超~360万円以下収入金額×30%+8万円
360万円超~660万円以下収入金額×20%+44万円
660万円超~850万円以下収入金額×10%+110万円
850万円超195万円

所得金額調整控除

給与等の収入金額が850万円を超える居住者で一定の要件(23歳未満の扶養親族を有するなど)に該当する場合には、所得金額調整控除が利用できる。

退職所得

退職所得とは、退職手当、一時恩給、その他退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与による所得をいう。

退職所得は、他の所得とは総合課税せずに分離課税とする。

また、会社に対して退職所得の受給に関する申告書提出すると、ほぼ正確な所得税・住民税(他の所得から控除しきれない所得控除等は考慮されない)が退職金から源泉徴収(天引き)され、原則として、退職金についての確定申告不要になる。
退職所得の受給に関する申告書提出しないと退職金から20.42%の所得税が源泉徴収され、確定申告で清算することになる。

退職所得の金額の計算

退職所得の金額=(退職金-退職所得控除額※)×1/2

※退職所得控除額は以下のとおり

勤続年数※¹退職所得控除額※²
20年以下40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)
※¹1年未満は切上げ(休職期間も勤続年数に含む) ※²障害者になったことが影響した退職なら+100万円

勤続年数が5年以下の役員等(特定役員等、公務員含む)に支払われる特定役員退職手当等については、2分の1を乗じない
また、同様の条件の特定役員以外の者は300万円を超える部分について2分の1を乗じない。

事業所得

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業から生ずる所得のほか、医師、弁護士、芸能人などの自由業による所得をいう。

事業所得の金額の計算

譲渡所得金額=総収入金額-必要経費

必要経費になるもの(例)

  • 固定資産税・事業税
  • 事業のための借入金の利息など
  • 第三者に支払う地代、家賃など
  • 減価償却費
  • 家事関連費で業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされるもの

必要経費にならないもの(例)

  • 所得税、住民税
  • 事業のための借入金の元本返済など
  • 生計を一にする親族に支払う地代、家賃など
  • 家事上の費用および家事関連費で必要経費にならないもの

売上原価

売上原価=年初棚卸資産の棚卸高+その年の仕入高(また製造原価)-年末棚卸資産の棚卸高

減価償却

減価償却とは、業務用の建物や自動車、機械・装置など、時の経過やその利用により価値が減少する資産について、その取得に要した金額を耐用年数にわたって各年分の必要経費に配分する事。土地は対象にならない

法定償却方法

定額法になる。

償却方法の選択

  • 減価償却の方法は資産の種類ごとに定額法定率法を選択できる。選択しない場合は法定償却方法になる
  • ただし、新たに取得した建物、建物付属設備、構築物は定額法のみ

※参考:定額法は毎年同額の減価償却費を計上する方法、定率法は当初を多く計上し年々減価償却費が減少する方法。

不動産所得

不動産所得とは、土地や建物等の貸付、地上権・永小作権等の不動産の上に存する権利等の貸付による所得をいう。

土地、建物、船舶、航空機の貸付に係る所得は、事業規模を問わず原則として不動産所得の金額となる。
ただし、次の所得は取扱いが異なる。

不動産の貸付に係る所得の分類所得区分
食事の提供を伴う不動産の貸付(下宿など)事業的規模→事業所得
事業的規模に満たない→雑所得
土地の貸付の際に貸借人から受け取った権利金土地時価の1/2超→譲渡所得
土地時価の1/2以下→不動産所得
自社使用人に利用させる寮・社宅事業所得

個人が土地・建物を売却したことにより生じた所得は譲渡所得

不動産所得の金額の計算

不動産所得金額=総収入金額-必要経費

総収入金額に算入されるもの

  • 家賃・地代・駐車場収入・権利金・礼金・更新料など
  • 敷金、保証金は収入とならないが返還を要しないことが確定した部分は収入金額に計上する。

一時所得

一時所得とは営利目的ではない一時の所得で、労務や資産譲渡の対価としての性質を有しない所得をいう。
具体的には、保険料負担者と受取人が同一人の生命保険の満期・解約・死亡保険金、ふるさと納税の返礼品、懸賞や賞金など。

一時所得の金額の計算

一時所得の金額=対象の収入の総合計-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

課税方法

総所得金額に算入される金額=一時所得の金額×1/2

譲渡所得

譲渡所得とは資産の譲渡で得られる所得をいう。
譲渡所得は、資産の種類や所有期間などにより土地建物等株式等一般の資産3つに区分される。

土地・建物等の譲渡所得分離課税
株式等の譲渡所得分離課税
その他の譲渡所得総合課税

総合課税の短期譲渡所得と長期譲渡所得

譲渡した時点で5年超長期譲渡所得、5年以下短期譲渡所得。これにより税率が変わってくる。

雑所得

利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、
9種類ある所得のいずれにも当てはまらない、仲間外れの所得をいう。なのでネーミングも雑所得なんですね。
代表的なものとして公的年金が雑所得にあたる。

公的年金等の雑所得の金額=公的年金等収入額-公的年金等控除額

受給者年齢公的年金等の収入金額公的年金控除額
65歳未満130万円未満
130万~410万円未満
410万~770万円未満
770万~1,000万円未満
1,000万円以上
60万円
収入×25%+275,000円
収入×15%+685,000円
収入×5%+1,455,000円
1,955,000円(上限)
65歳以上330万円未満
330万~410万円未満
410万~770万円未満
770万~1,000万円未満
1,000万円以上
110万円
収入×25%+275,000円
収入×15%+685,000円
収入×5%+1,455,000円
1,955,000円(上限)

※1 年齢は年末時点で判定 
※2 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万以下の場合(1,000万円超の場合10万円、2,000万円超の場合20万円それぞれ引き下げられる)

公的年金等以外の雑所得(業務、その他)=収入金額-必要経費

外部リンク:国税庁HP,スタディング FP講座

それでは過去問を解いてみましょう。

問②④⑤は〇✕でお答えください。
問① 所得税において、2021年中に取得した建物(鉱業用減価償却資産等を除く)に係る減価償却の方法は、()である。
  1. 定額法
  2. 定率法
  3. 定額法および定率法
問② 不動産の賃貸に伴い受け取った敷金のうち、不動産の貸付期間が終了した際に賃借人に返還を要するものは、受け取った年分の不動産所得の金額の計算上、総収入金額には算入しない。
問③ 給与所得者が、22年間勤務した会社を定年退職し、退職金2,000万円の支払を受けた。この場合、所得税の退職所得の金額を計算する際の退職所得控除額は、(   )となる。
  1. 800万円+70万円×(22年-20年)×1/2=870万円
  2. 800万円+40万円×(22年-20年)=880万円
  3. 800万円+70万円×(22年-20年)=940万円
問④ 所得税において、一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために直接支出した金額の合計額を控除し、その残額から特別控除額(最高50万円)を控除した金額であり、その金額が総所得金額に算入される。
問⑤ 所得税において、公的年金等に係る雑所得の金額は、その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除して計算する。

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解答

問① 1 問② 〇 問③ 3 問④ ✕ 問⑤ 〇

Wiki技能士

ここでの注目問題は問③と④の退職所得と一時所得
頻出になりますので、しっかり押さえましょう