法人契約の生命保険等|FP3級Wiki

実技を保険顧客 資産相談業務にすると、この辺が多く出てきます。
昔はよく、実技は保険にすると簡単なんて言われていたんですが、
最近の合格率を見ると決してそんなことはないようです。

       

事業保障資金

資金の確保

事業保障資金とは、経営者が死亡した時に発生する損失を補い、企業を維持するための資金のこと。
準備額は後継者が軌道に乗るまでの間の期間を想定し、期間内に返済する短期借入金などの額を考慮して算出する。

事業保障資金=短期債務額(短期借入金+買掛金+支払手形)+従業員1年間の人件費

法人契約保険アドバイス等

役員退職慰労金・死亡退職金(弔慰金)の準備

その金額が過大でなければ法人税法上、損金に算入できる(経費で落とせる)。不相当となる部分は損金算入できない。
役員退職慰労金の場合、一般には功績倍率方式により適正額を算出する。

役員退職慰労金=役員最終報酬額×役員在任年数×功績倍率

・相続人が死亡退職金を受け取った場合「500万円×法定相続人の数」までは相続税が非課税になる。

・弔慰金は、下記の範囲内であれば相続税は非課税とされ、上回った部分は死亡退職金として扱われる。

  • 業務上死亡の場合:死亡時の普通給与(賞与除く)の36ヶ月
  • 業務外死亡の場合:死亡時の普通給与(賞与除く)の6か月

役員退職慰労金準備における保険活用法

解約返戻金を役員退職慰労金として支給する。また、契約者を退職する役員、死亡保険金受取人を役員の遺族に名義変更し、生命保険契約を役員退職慰労金の一部として現物支給する方法もある(解約返戻金分を退職所得の収入金額として扱う)。

長期平準定期保険や逓増定期保険のような死亡保障も高く貯蓄性もある保険は、死亡退職金や事業保障資金を確保しつつ、解約返戻金を財源とした役員退職慰労金を準備できるため適している。

総合福祉団体定期保険

会社の役員・従業員などを被保険者とする1年更新の定期保険で死亡退職金の準備ができ、企業の福利厚生の一環として利用される。

       

法人契約の経理処理①(支払保険料)

保険料の経理処理(原則)

保険金の受取人を誰にしているかで、毎月の保険料の経理が変わってくる。貯蓄性保険はあとで戻ってくるので資産扱いですね。

保険種類受取人が法人受取人が
社員または社員の遺族
貯蓄性保険資産計上
(保険料積立金)
損金算入
(給与・報酬)
掛捨て保険損金算入
(保険料)
損金算入
(福利厚生費※)
※全社員にせず特定の社員のみ加入させている場合は給与・報酬となる。

保険金受取人を分けることのできる保険の経理処理(例:養老保険)

条件を満たすと下記のようなハーフタックスプランというのができます。福利厚生プランとも言います。

  • 契約者:法人
  • 被保険者:社員(普遍的加入)
  • 満期受取人:法人
  • 死亡受取人:社員の遺族

保険料の半分が資産計上(保険料積立金)、半分が損金算入(福利厚生費)となります。つまり半分が経費で落とせるわけです。

経理処理はこんな感じになります。

借方貸方
保険料積立金  100万円
福利厚生費   100万円
現金・預金  200万円
       

長期平準定期保険(2019.7.7契約分まで)

要件

保険期間満了時の被保険者年齢>70歳
かつ、
加入時の被保険者の年齢+保険期間×2>105

死亡保険金受取人を法人とする場合の保険料の経理処理

2019年改正に加入の保険はかなり有利な経理処理ができます。

  • 前半6割相当期間:半分資産計上(前払保険料)、半分損金算入(定期保険料)
  • 後半4割相当期間: 全額損金算入(定期保険料)、資産計上していた分を期間経過に応じ取崩し、損金算入

2019.7.8改正以後の契約については、次項の定期保険や第三分野保険と同じになってしまいます。

定期保険および第三分野保険(2019.7.8以後)

定期保険および第三分野保険で「保険料に多額の前払保険料が含まれる保険」は、法人が負担する保険料についての取扱いが見直され、下記のように最高解約返戻率に応じて資産計上期間および資産計上割合が決められることとなった。
※要約すると、多額の前払保険料が含まれる保険だと解約時期によっては貯蓄性が高いにも関わらず、掛け捨て保険のように有利な経理処理ができてしまっていたのでそれを改正したという事。

その契約の解約返戻率の高さによりルールが下記のように分かれます。

2019年7月8日以後契約の、返戻率の高い定期保険および第三分野保険の表

最高解約
返戻率
資産計上期間資産計上割合
(前払保険料)
取崩期間経理処理
50%以下なし(全額損金処理)なしなし
50%70%以下前半40%期間まで40%資産
60%損金
保険期間75%経過後から
保険期間終了まで均等に崩す
70%85%以下前半40%期間まで60%資産
40%損金
保険期間75%経過後から
保険期間終了まで均等に崩す
85%3級では省略3級では省略3級では省略
       

法人契約の経理処理②(保険金・解約返戻金)

保険金受取時

法人契約で満期保険金や死亡保険金を受け取る場合には、受取人が法人被保険者またはその遺族かにより経理処理が異なる。

満期・死亡保険金受取人法人の経理処理
法人保険金-資産計上額で計算し、
プラスなら差額が雑収入
マイナスなら差額が雑損失
資産計上分が無ければすべて雑収入。
社員・社員の遺族通常は経理処理不要
資産計上されている保険料があれば雑損失

例)保険始めて2年くらいで会社役員が死んで法人が死亡保険金1億円を受け取った場合の経理処理(保険料払込200万円)

借方貸方
現金・預金  1億円保険料積立金  200万円
雑収入     9,800万円

例)2019.7.8以後契約の定期保険の死亡保険金1億円を法人が受け取った場合の経理処理

年間保険料100万円、保険期間50年、最高返戻率60%で加入後5年経過

借方貸方
現金・預金  1億円前払保険料  200万円
雑収入    9,700万円
※死亡時における前払保険料:100万円×40%×5年=200万円

解約返戻金受取時

解約返戻金-資産計上額で計算し、プラスなら差額が雑収入、マイナスなら差額が雑損失となる。

       

事業活動のリスク管理

企業は保険商品等を活用するだけでなく、次のようなリスクコントロール策を講じる必要がある。

事故の回避

事故の発生がかなりの確率で予想される場合、それを回避する。(紛争地域や政情不安地域からの撤退)

事故の発生防止

事故が発生しないよう、事業活動に伴う事故発生の防止策を講じる。(禁煙や火気厳禁のアナウンス等)

損害の軽減

事故が生じた場合の損害を最小限にするための拡大防止策を講じる。(防火扉や消火器の設置等)

リンク:FP1級Wiki-11.(法人)損害保険の経理処理,スタディング FP講座

       

法人契約に関する過去問を解いてみましょう。

問① 養老保険の福利厚生プランでは、契約者(=保険料負担者)および満期保険金受取人を法人、被保険者を(①)、死亡保険金受取人を被保険者の遺族とすることにより、支払保険料の(②)を福利厚生費として損金の額に算入することができる。

  1. ① 役員  ② 3分の1相当額
  2. ① 役員および従業員全員  ② 2分の1相当額
  3. ① 従業員全員  ② 全額

問② 総合福祉団体定期保険は、法人の役員・従業員の遺族の生活保障を目的とした保険であり、保険期間は(  )ごとに更新される。

  1. 1年
  2. 3年
  3. 5年

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解答

問① 2 問② 1

Wiki技能士

法人契約はとても複雑。3級では出題は少なめなので捨てちゃうのもひとつの策。
ただ、この先2級を目指すのならここで逃げずにつぶしておきましょう!