保険と税金|FP3級Wiki
保険料控除の対象となる要件や、旧制度(2011年まで)と新制度(2012年以降)の控除限度額の違い、注意点を理解しましょう。
1.生命保険と税金
要件を満たす生命保険や年金保険の保険料を支払うと、所得税&住民税が軽減される。
生命保険料控除の種類
2011年までに契約した生命保険は「一般」「個人年金」の2種類(旧制度)。
2012年以降に契約した生命保険は「一般」「介護医療」「個人年金」の3種類(新制度)。
複数契約している人で旧制度、新制度がある場合は、通算する必要が出てくる(後述)。
2011年までに契約した生命保険契約について2012年以降に更新、転換、特約中途付加等をすると、その月以降はその契約全体が新制度の対象になる。
主契約と特約は、それぞれの保険料控除が適用される。例)死亡保障契約(一般)+医療特約(介護医療)
保険種類・特約 | 2011年まで契約 | 2012年以降契約 |
---|---|---|
終身保険、定期保険、養老保険 収入保障保険(特約)、 特定疾病保障定期保険(特約) | 一般 | 一般 |
医療保険(特約)、がん保険(特約) 就業不能保険(特約)、先進医療特約 | 一般 | 介護医療 |
災害入院特約、災害割増特約、傷害特約 | 一般 | 対象外 |
個人年金保険 (個人年金保険料税制適格特約付) | 個人年金 | 個人年金 |
- 介護保障保険の場合、死亡保険金額と介護保障の保険金額が同額であれば一般生命保険料控除、死亡保障が無い介護保障保険の保険料は、介護医療保険料控除となる。
- 特定疾病保障定期保険は、特定疾病保険金、高度障害保険金、死亡保険金が同額のため、一般生命保険料控除の対象。
生命保険料控除額
一時払いの保険は、全額が支払った年の生命保険料控除対象となるため、翌年以降は控除できない。前納払いは可。
所得税(新旧制度通算12万円限度)
旧制度控除限度額 | 新制度控除限度額 | |
---|---|---|
一般生命保険料控除 | 5万円 | 4万円 |
介護医療保険料控除 | なし | 4万円 |
個人年金保険料控除 | 5万円 | 4万円 |
合計控除限度額 | 10万円 | 12万円 |
住民税(新旧制度通算7万円限度)
旧制度控除限度額 | 新制度控除限度額 | |
---|---|---|
一般生命保険料控除 | 3.5万円 | 2.8万円 |
介護医療保険料控除 | なし | 2.8万円 |
個人年金保険料控除 | 3.5万円 | 2.8万円 |
合計控除限度額 | 7万円 | 7万円 |
新制度と旧制度の適用契約がある場合
旧制度のみ適用、新制度のみ適用、新旧両制度適用(一般、個人年金、介護医療、控除ごとにそれぞれ新旧どちらを適用するか決めて計算)のうちから任意で選ぶことができる。 ただし、控除限度額は合算して所得税12万円、住民税7万円までとなる。
死亡保険金と税金
契約形態によって課税される税金の種類が変わってきます。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | Aの相続人 | 相続税 (500万×法定相続人の人数分が非課税) |
A | A | Aの相続人以外 | 相続税(非課税なし) |
A | B | A | 一時所得として所得税・住民税 |
A | B | C | 贈与税 |
満期保険金・解約返戻金と税金
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | A | 一時所得として所得税・住民税 |
A | B | A以外 | 贈与税 |
保険期間5年以内(解約含む)の一時払養老保険や一時払個人年金保険の解約返戻金等は金融類似商品として差額利益は20.315%の源泉分離課税になる。
個人年金保険を受け取るときの税金
年金受取期間中(契約者=受取人の場合)は、雑所得として所得税・住民税が課される。
その他生命保険に関する税金
- 入院(通院・手術・介護)給付金や高度障害保険金を、被保険者やその配偶者、直系血族、生計を一にするその他の親族が受け取った場合は非課税
- リビング・ニーズ特約保険金、特定疾病保険金は、被保険者等が受け取った場合は非課税
- 被相続人が保険料を負担し、保険金支払事由の発生していない生命保険契約に関する権利等の相続税評価額は、原則として相続開始時における解約返戻金の額による。
損害保険と税金
地震保険料控除
控除対象は自宅建物や家財に付保した地震保険料で、控除額は所得税が支払保険料の全額で最高5万円、住民税が支払保険料の2分の1で最高25,000円。また、保険料が一時払の場合は毎年その年分の保険料が対象になる。
個人が受け取る保険金と税金の関係
非課税となる保険金や給付金
- 所得にならないもの(相手に支払う賠償保険金等)
- 損害賠償金の性格を有するもの(無保険車傷害保険金、人身傷害補償保険金の相手過失部分等)
- 資産の損害を補填する保険金(火災保険金、車両保険金等)
- 身体の傷害、傷害に対して支払われる補償(傷害保険金、後遺障害保険金、医療費用保険金、所得補償保険金等)
課税対象となる保険金・給付金
- 傷害保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険(自己過失部分)等の死亡保険金(生命保険の課税関係と同様)
- 満期返戻金、解約返戻金、年金給付(生命保険の課税関係と同様に扱う)
外部リンク:国税庁HP,No.1140生命保険料控除,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問③④は〇✕でお答えください。
問① 生命保険契約において、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人がAさん、被保険者がAさんの父親である場合、被保険者の死亡によりAさんが受け取る死亡保険金は、( )の課税対象となる。
- 贈与税
- 相続税
- 所得税
問② 生命保険契約において、契約者(=保険料負担者)が夫、被保険者が妻、死亡保険金受取人が子である場合、子が受け取る死亡保険金は、()の課税対象となる。
- 相続税
- 贈与税
- 所得税
問③ 2021年中に契約した生命保険に付加されている傷害特約に係る保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。
問④ 所得税において、個人が2021年中に締結した生命保険契約に基づく支払保険料のうち、先進医療特約に係る保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。
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解答
問① 3 問② 2 問③ ✕ 問④ 〇
保険でさえ混乱するのに税金も絡んでくると途端に難しくなるね。
でも保険料控除は自分にとってもお得になることだから、しっかり覚えよう!