ライフプランニングの考え方・手法|FP3級Wiki
FP3級試験で出題率が高いのはなんといっても6つの係数です。
これはその後のFP2級やFP1級試験でもずっとずっとのお付き合いです。
数値はどの試験でも必ず示されるので覚える必要はありませんが、どの係数が何を計算するのかを覚えておきましょう。
ただ、もし試験でわからなくなってしまった場合の対処法はあります。
かたっぱしから電卓で打っていくと、FP3級の場合は違う係数だと変な数字になるのでだいたいの検討はつくハズです。
覚えていただきたくて変な例えで解説を入れてありますが、かえってわかりにくいようであれば、気にせず進めてください。
1.ライフプランニングの考え方・手法
1.可処分所得
FPがライフプランニングをするにあたって基準となる収入のことです。あまり聞き慣れないと思います。
年収から半ば強制的に引かれる税金や社会保険料等を差し引いた実際に使える収入のことを可処分所得という。
可処分所得=年収(総支給額)-(所得税+住民税+社会保険料)
注)生命保険料や財形預金などは含まない
いわゆる「手取り」ともちょっと違うので「税金と社会保険料払った残り」と覚えましょう。
「可処分」っていうのは、処分可能ってことよね?
処分を辞書で引くと、
「取り扱いを決めて物事の決まりをつけること。」
つまり可処分所得とは、
どう使うかを決めることが出来る所得ってことよね。
言いかえれば自分で自由にできるお金って事ね♪
私ってものしり~(*´▽`*)
2.バランスシート(貸借対照表)
指定された時点の資産や負債を一覧表にまとめ、資産と負債のバランスを分析するためのシート。
資産から負債を引いた純資産が高ければ良好(儲かってる)となる。
貸借対照表は個人だけでなく企業でも使用するものです。資産は時価(現在価格)で計上します。
純資産=資産-負債
資産=負債+純資産
必ず左右の計が同じ金額になるわけです。つまり資産から負債を引いた余裕が純資産と言った感じですね。
3.キャッシュフロー表
現在の収支と、この先のライフプランから将来の収支や貯金残高の推移を予測分析する資料がキャッシュフロー表です。
金額は将来価値で記入していく。そのため常に最新の情報を収集し書き換えていくことで精度を保つ。
キャッシュフロー表作成に必要な計算式
- 将来の金額:現在の金額×(1+変動率)経過年数
- 年間収支:年間収入-年間支出
- 貯蓄残高:前年末の貯蓄残高×(1+運用利率)±当年の年間収支
- 現在の金額:将来の金額÷(1+変動率)経過年数
※経過年数は乗率です
キャッシュフロー表に興味がある方はググってみてください⇒ググる
4.ライフイベント表
家族全体や個人ごとのライフイベントを時系列にまとめた資料。
結婚、とかマイホーム購入、とか。未来の年表のようなものですね。
この場合の費用は現在価値で記入する。キャッシュフロー表とも関わる資料です。
5.死亡時の必要保障額
もしもの備えとして死亡時の保障は重要です。死亡による家庭の収入減を補います。
最近の保障額の考え方は、一番下の子が誕生した時を最大額として、以降は逓減(緩やかな下降)していく。
2.6つの係数(重要)
ライフプランを立てるにあたって、定番とも言える6つの係数があります。この係数を使うことでいろいろな計算ができます。
- 終価係数:現在額の複利計算による将来の元利合計を計算する(定期預金の満期を求める)
- 現価係数:将来の貯蓄目標額を達成するための元本を算出(定期の満期金から元金を逆算する)
- 年金終価係数:毎年一定額を積み立てた元利合計額を計算する(積立預金の結果を求める)
- 減債基金係数:将来の目標額のための毎年の積立額を求める(目標額から逆算する)
- 年金現価係数:毎年一定額の年金を受け取るために必要な元本を求める(年金年額からその原資を求める)
- 資本回収係数:年金原資から受取年金額を計算する(預金を毎年崩したら一回いくらになるか求める)
なぜ係数が必要かと言うと、時間の経過中も手元の資金は運用がなされるため単純計算では導き出せないからです。
6つの係数は①②の「一括コンビ」と③④の「積立コンビ」、⑤⑥の「取崩コンビ」に分けることができます。
それぞれグループ内の係数同士は、かけ合わせると1になる逆数の関係にあります。
ふたつで1つ。そう、ボケとツッコミ。漫才コンビのような関係なのである。
年2%、期間10年の各種係数(2019年9月実施学科試験 問1から抜粋)
①終価係数 | ②現価係数 | ③年金終価係数 | ④減債基金係数 | ⑤年金現価係数 | ⑥資本回収係数 |
---|---|---|---|---|---|
1.2190 | 0.8203 | 10.9497 | 0.0913 | 8.9826 | 0.1113 |
一括コンビ
ツカミ(最初)とオチ(最後)のみに的を絞ったコンビ。
元金や目標金額があってそれに合わせた利息に関する計算ができます。
終価係数
100万円を預けた場合の10年後の元利合計
100万円×1.2190≒122万円
現価係数
10年後に122万円貯めるための元金
122万円×0.8203≒100万円
積立コンビ
静かに始めて、オチに向けてどんどん盛り上がっていくタイプ。M1で強そうですね。
積立額に着目した計算ができます。
年金終価係数
毎年10万円積み立てた場合の10年後の額
10万円×10.9497≒109万円
減債基金係数
10年後に109万円を貯めるための毎年の積立額
109万円×0.0913≒10万円
取崩コンビ
出オチ。そこから尻すぼみ。キャラ芸人に多そうですね。
年金に着目した計算ができます。原資か年額か、ですね。
年金現価係数
10年間毎年10万円を受け取るための原資
10万円×8.9826≒90万円
資本回収係数
90万円を取り崩して10年で受け取る場合の年額
90万円×0.1113≒10万円
外部リンク:日本FP協会,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問① 一定の利率で複利運用しながら、毎年一定金額を積み立てた場合の一定期間経過後の元利合計額を試算する際、毎年の積立額に乗じる係数は、( )である。
- 減債基金係数
- 年金現価係数
- 年金終価係数
問② Aさん(40歳)が、老後資金として2,000万円を準備するために、20年間、毎年均等に積み立て、利率(年率)1%で複利運用する場合、必要となる毎年の積立金額は( )である。なお、計算にあたっては下記の<資料>の係数を使用して算出するものとする。
資料 利率年1% 期間20年
現価係数 | 減債基金係数 | 年金現価係数 |
---|---|---|
0.8195 | 0.0454 | 18.0455 |
- 819,500円
- 908,000円
- 1,000,000円
問③ Aさんの2021年分の可処分所得の金額は、下記の<資料>によれば、( )である。
<資料>2021年分のAさんの収入等
- 給与収入:700万円(給与所得:520万円)
- 所得税・住民税:60万円
- 社会保険料:100万円
- 生命保険料:10万円
- 360万円
- 530万円
- 540万円
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解答
問① 3 問② 2 問③ 3
問①は積立グループなのでM1で強いのよね?未来の金額だから終価ね。
問②もまた積立グループ。毎年の金額だから減債基金よね。
問③は可処分所得!収入から税と社会保険料を引いてね。
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