損害保険|FP3級Wiki
火災保険や自動車保険がメインとなりますが出題は結構まんべんなく出ます。ちなみに地震保険は火災保険に付帯されます。
1.保険価額と保険金額
- 保険金額:保険会社が損害のてん補のために支払う限度額
- 保険価額:保険事故の発生によって被保険者が被る可能性のある損害の限度額(時価や再調達価額)
- 再調達価額:保険の対象と同等の物を新たに購入するのに必要な金額
- 時価:再調達価額から、使用による消耗を差し引いた金額
- 全部保険:保険価額=保険金額、吊り合っているのでそのまま支払われる。
- 超過保険:保険価額<保険金額、保険価額が限度になる。(超過部分は過失がなければ取消しできる)
- 一部保険:保険価額>保険金額、保険金を小さく掛けていた場合、比例てん補※(比例払い方式)となる。
比例てん補についての詳しい解説はこちらの2級サイトへリンク→FP2級wiki
2.火災保険等
失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)
失火(軽過失)による不法行為での火事であるなら、その責任は問いませんよ。とする法律です。
ただし、重過失にあたる場合、故意にあたる場合、プロパンガスなどの爆発事故の場合、
これらは民法の規定どおり損害賠償責任を負います。
また、借家のケース。アパートの住人が部屋を失火で燃やしてしまった場合は、債務不履行による損害賠償責任と取られるので(借りたもん返せよ的な)、そこには失火責任法は適用されず、家主に対する損害賠償が発生する。隣家には責任取らなくていい。
火災保険
住宅火災保険
建物と家財を対象として、火災、落雷、爆発、風災・ひょう災・雪災、消防活動による水漏れ等が保険金の支払い対象となる。
住宅総合保険
上記災害に加えて、持ち出し家財の損害、盗難、水災、給排水設備の事故による水漏れ等の補償が加わる。
地震保険
- 地震、噴火、これらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害を補償。
- 火災保険に付帯して契約。単独契約は不可。
- 地震保険の保険料は所在地や建物の構造で異なる。保険会社による差異はない。
- 建築年割引、耐震診断割引、耐震等級割引、免震建築物割引の4つの割引制度がある(重複適用不可)。
地震保険対象物・保険金額
- 居住用建物(店舗併用はOK)と生活用動産(家財)が対象で、30万円を超える貴重品等(火災保険のような明記物件)については一切対象にならない。
- 保険金額は主契約である火災保険金額の30~50%で、建物5,000万、家財1,000万円が限度となります。
- 保険金には損害の程度に応じた損害区分があり、現在、全損(100%)、大半損(60%)、小半損(30%)、一部損(5%)の4区分。
3.自動車保険等
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)
自動車損害賠償保障法によって、自動車・二輪車・原動機付自転車は自賠責保険を付けなければ運行できない強制保険。
補償の対象が対人賠償事故のみで、対物賠償事故は対象にならない。
補償対象 | 対人賠償事故のみ |
支払限度額 (被害者1人当たり) | 死亡3,000万円、後遺障害4,000万円(程度による)、傷害120万円 被害人数分が支払われる。 |
- 酒酔い運転も無免許運転も被害者保護のため支払われる。
- 自分の家族(配偶者、親、子)が被害者でも条件を満たせば保障される。
自動車保険(任意の自動車保険)
任意保険とは民間の保険。以下のものを組み合わせた保険で、いろいろな種類がある。
対人賠償保険
自賠責保険の支払額を超える部分に対して保険金が支払われる。超過分について1事故に複数の被害者がいる場合はそれぞれに相応の保険金額が支払われる。飲酒運転・無免許運転も補償。ただし、被保険者、その父母、配偶者、子は補償されない。
対物賠償保険
他人の物を壊し、法律上の損害賠償保険を負った場合に損害額を補填する。飲酒運転、無免許運転の事故も補償する。被保険者、その父母、配偶者、子の物は補償されない。
人身傷害補償保険
契約した自動車または他の自動車に乗車中や歩行中の自動車事故で死傷したり後遺障害を被った場合に、自己の過失部分を含めた保険金額を上限に損害額全額について、示談成立前に保険金が支払われる。
過失割合があるため、それによって相手からの補償が足りない場合や、そもそも相手がいない自損事故などの発生に備えるための保険。
車両保険
事故による自家用車の損害に対して補償する。飲酒運転や無免許運転は補償(免責)しない。補償範囲を何パターンか選べる。
- 車対車+A:火災・台風・高潮・洪水・盗難等に加え、他車との事故を含む
- 一般条件:上記に加えさらに単独事故や当て逃げも含む。
4.傷害保険
普通傷害保険
国内外を問わずに急激かつ偶然な外来の事故による傷害を保障する保険。保険料は年齢や性別ではなく職業によって分けられる。
- 対象:骨折、捻挫、やけど、破傷風など
- 対象外:疲労性腰痛、地震・噴火・津波による傷害、心臓発作、熱中症、細菌性食中毒など
傷害保険の後遺障害保険金は、一般に補償の対象となる事故によるケガが原因で、事故の発生日からその日を含めた180日以内に所定の後遺障害が生じた場合に支払われる。
家族傷害保険
国内外、業務中外を問わず、日常生活における身体傷害に対して補償される。被保険者となるのは、一般に被保険者本人、配偶者、生計を共にする同居の親族、別居の未婚の子で、契約後に生まれた子も対象。
国内旅行保険・海外旅行保険
- 旅行での自宅出発から帰宅までを補償する
- 細菌性・ウイルス性食中毒を補償する
- 海外旅行保険は海外での疾病・地震・噴火・津波のケガも補償
5.個人賠償責任保険
加入した家族全員が日常生活において生じた偶然の事故により、他人の身体や財物に損害を与えた場合に、法律上の賠償責任を負担することで生じる損害に対して保険金が支払われる。
補償の対象例
- 飼い犬が通行人に噛みついてケガをさせた場合
- 買い物中に誤って棚から商品を落とし破損させた場合
保障の対象外
- 家族間での賠償事故
- 業務中に対する賠償事故
- 自動車や原付バイクによる事故(自動車保険の出番)※でも自転車は対象
6.法人の賠償責任保険
生産物賠償責任(PL)保険
製造販売(食品含む)、提供したサービス等、もしくは行った作業が原因で生じた事故による対人対物損害賠償責任を補償する。
(例)販売したおもちゃに欠陥がありこどもがケガをした。取り付け作業した看板が落下しケガ人が出た。
施設所有(管理)者賠償責任保険
施設の欠陥や、従業員の業務中の事故などによって来客者など他人が被害を受けた場合の、
施設の所有者や管理者が負う損害賠償責任を補償する。
(例)施設のアトラクションが故障し、来客者がケガをした。自転車で商品配達中に通行人にケガを負わせた。
受託者賠償責任保険
お客様の物を預かる業務を行う事業者が、預かった物に損害を与えた場合に補償する。倉庫業、ゴルフ場、美容院、レストランなどが加入する。
それでは過去問を解いてみましょう。
問③のみ〇✕でお答えください。
問① 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定されるが、居住用建物については(①)、生活用動産(家財)については(②)が上限となる。
- ① 1,500万円 ② 300万円
- ① 3,000万円 ② 500万円
- ① 5,000万円 ② 1,000万円
問② 借家人が失火により借家と隣家を焼失させてしまった場合、借家人に重大な過失が認められないときは、民法および失火の責任に関する法律の規定上、借家の家主に対する損害賠償責任を(①)、隣家の所有者に対する損害賠償責任(②)。
- ① 負うが ② は負わない
- ① 負い ② も負う
- ① 負わないが ② は負う
問③ 自動車保険の人身傷害補償保険では、被保険者が自動車事故により負傷した場合、自己の過失割合にかかわらず、保険金額を限度に実際の損害額が補償される。
問④ 個人賠償責任保険では、被保険者の( )ケガを負わせ、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害は、補償の対象とならない。
- 飼い犬が被保険者と散歩中に通行人に噛みつき
- 同居の子が自転車で走行中に通行人にぶつかり
- 配偶者が自動車の運転中に歩行者に接触して
問⑤ 自動車事故でケガを負い、相手方が加入していた自動車保険の対人賠償保険金を受け取った場合、当該保険金は( )とされる。
- 非課税
- 雑所得
- 一時所得
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解答
問① 3 問② 1 問③ 〇 問④ 3 問⑤ 1
どういった事象に保険金が支払われるのか。
試験対策として、どの損害保険もそこは重要です。
かならず押さえておきましょう。