投資信託|FP3級Wiki
最近流行の投資信託です。投資のプロにまかせることができ、リスク分散もしやすいので初心者が始めやすい商品。
どういう仕組みの商品なのか。しっかり確認して私生活にも役立てましょう。
投資信託の特徴
投資信託とは「信じて託す」の名のとおり、複数の顧客から資金を集めて大きな資産とし、それを専門家が管理・運用して増やし、その成果を分配金等で顧客に還元するものです。分配金や元本に対して保証はない。
投資信託に関わる機関と役割
顧客(受益者)が購入する投資信託の販売・運用・管理を、
それぞれ証券会社(販売会社)・投資信託委託会社(委託者)・信託銀行(受託者)の3者が分担して行っています。
- 販売会社:投資信託の募集や目論見書・運用報告書の交付、分配金の支払等を行う。
- 委託者:目論見書・運用報告書の作成、信託財産の運用指図等を行う。
- 受託者:委託者からの指図に基づいて売買を行い、信託財産の名義人になる。
投資信託のディスクロージャー
投資信託の情報開示の方法です。
目論見書(投資信託説明書)
投資家が投資信託を購入する前または購入と同時に交付しなければならない交付目論見書(基本情報)と、
投資家から請求があったときに直ちに交付しなければならない請求目論見書(追加情報)に分かれている。
運用報告書
投資信託の運用結果や今後の運用方針などが記載されている。
投資信託の分類
投資対象に株式を組み入れ可能かどうかにより、2つに分かれる。
- 公社債投資信託:公社債中心で運用する。株式はいっさい組み入れない。
- 株式投資信託:運用対象に株式を組み入れることが可能なタイプ(実際に組んでなくても)。
追加設定の有無によって、単位型投資信託と追加型投資信託に分かれる。
- 単位(ユニット)型:ファンドの設定後は追加設定が行われず、新規設定の募集期間のみ購入が可能。
- 追加(オープン)型:ファンド設定後も追加購入でき、償還期間が無期限のものもある。
運用スタイル
投資信託をどのように運用していくか。いくつかのスタイルがあります。
1.パッシブ運用
運用成果が日経平均株価や東証株価指数といったインデックス(ベンチマーク)に連動するように設計された投資信託。
2.アクティブ運用
ベンチマークを上回る運用成果を目指す投資信託。一般に、パッシブ運用に比べて運用管理費用(信託報酬)が高い。
バリュー投資
PERやPBRなどで株価が割安だと判断される銘柄で運用する。
グロース投資
売り上げや利益の成長性が高いと判断される銘柄で運用する。PERやPBRが多少高くても今後の成長を期待して投資する。
トップダウンアプローチ
マクロ的な視点(俯かん視点)で経済環境を分析し資産配分を決定。そこから組み入れ銘柄を決めていく手法。 たとえば海外ファンドならどの国に何割ずつ割り振るかを先に決めて、各国の個別銘柄を決めていくような感じ。
ボトムアップアプローチ
個別銘柄選択を重視。個別企業の調査分析を密にし、企業訪問などを重ねて銘柄を決定。 その積み上げによりファンドを設計する手法。個別企業の業績を重視。
主な投資信託商品
上場投資信託(ETF)
証券取引所に上場している投資信託。特定の株価指数や商品指数(金や原油など)に連動することを目指している。 売買においては、株式同様、指値注文や成行注文が可能である。
不動産投資信託(REIT)
J-REITは、オフィスビルや商業施設などの不動産を運用対象とする投資信託で、東京証券取引所に上場して売買する。 賃貸収入や売買益で運用成果を上げ、投資家に分配する。 会社型という形態があり、投資法人を設立し資金を集めて不動産等に投資する方法もある。
ETFとJ-REITの特徴
- 立会時間中は上場された金融商品取引所でいつでも時価で売買できる。
- 指値注文や成行注文ができ、信用取引もできる。
- 売買時に委託手数料がかかる。
- 非上場の投資信託に比べて運用管理費用(信託報酬)が安いというメリットがある
ETFとJ-REITの総合課税による控除の違い
項目 | ETF | J-REIT |
---|---|---|
配当控除 | 受けられる | 受けられない |
その他の投資信託
ブル型とベア型
デリバティブ(金融派生商品のこと。先物・オプション・スワップ取引など)を活用する運用方式。
攻撃的で、特殊型に分類される。
ブル(強気)型は相場(日経平均など)が上昇すると基準価額以上の上昇をする。
ベア(弱気)型は下落すると基準価額が上昇する。 レバレッジ(てこ)を利用して2倍以上の動きに設計されているファンドもある。
投資信託の金額に関する用語
個別元本
投資家にとっての元本。
この金額を上回る部分から払う分配金を普通分配金、
下回る部分から払う分配金を元本払戻金(特別分配金)という。
元本払戻金(特別分配金)が支払われるとその分個別元本は少なくなる。
基準価額
1口または1万口当たりの信託財産の時価
収益分配金
普通分配金
収益部分から支払われる分配金(課税対象になる)
特別分配金(元本払戻金)
元本部分から支払われる分配金(非課税になるが元本が減る)
投資信託のコスト
購入時手数料
販売会社が投資家から受け取る手数料。同じ商品を同じ口数購入しても販売会社によって異なることがある。
無料(ノーロード)もある。
運用管理費用(信託報酬)
運用・管理サービスに対して支払う報酬。日々、信託財産の中から徴収される。
信託財産留保額
購入・解約時にかかる費用で、運用会社が受け取るのではなく信託財産に留保され、基準価額に反映される。
全ての投資信託に設定されているわけではない。
外部リンク:㈳投資信託協会、スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問②④⑤は〇✕でお答えください。
問① 投資信託における( )運用は、企業の成長性が市場平均よりも高いと見込まれる銘柄に投資する運用手法である。
- グロース
- パッシブ
- バリュー
問② 公社債投資信託は、投資対象に株式をいっさい組み入れることができない。
問③ 追加型株式投資信託を基準価額1万2,000円で1万口購入した後、最初の決算時に1万口当たり400円の収益分配金が支払われ、分配落ち後の基準価額が1万1,700円となった場合、その収益分配金のうち、普通分配金は(①)であり、元本払戻金(特別分配金)は(②)である。
- ① 100円 ② 300円
- ① 300円 ② 100円
- ① 400円 ② 300円
問④ パッシブ運用とは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの市場インデックスに連動した運用成果を目指す運用手法である。
問⑤ 投資信託の運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を購入する際に年間分を前払いで支払う必要がある。
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解答
問① 1 問② 〇 問③ 1 問④ 〇 問⑤ ✕
FP3級での出題は運用スタイルが多いです。
パッシブ、アクティブ、聞き慣れないですが、
しっかり意味を理解しましょう。