金融マーケット環境の理解|FP3級Wiki
急に難しい横文字の専門用語が飛び出してくるのが金融資産運用分野。でも出題の仕方はやさしいので、恐れることなく自分のペースで学習していきましょう。経済の仕組みも少しわかってくるので世の中の見方も変わってくるかもしれません。
1.金融市場の仕組み
日本の金融市場の分類
金融市場は、大きく取引期間1年未満の短期金融市場と取引期間1年超の長期金融市場に分かれる。
一応簡単な解説は加えていますが、ここでは全体をなんとなく把握する程度で充分です。
短期金融市場(マネーマーケット)
取引期間が1年以内の市場
インターバンク市場
金融機関限定の市場
- コール市場:金融機関同士が短期資金の貸し借りを行っている市場
- 手形市場:手形で金融機関が相互に短期資金を融通し合う貸借取引の市場
オープン市場
一般企業も参加
- CD市場:譲渡性預金(CD)が取引される市場
- CP市場:コマーシャル・ペーパー(CP)が取引(売買)される市場
- 国庫短期証券市場:国庫短期証券(TDB)が売買される市場
- 債券現先市場:現先取引が行われる市場
- 債券レポ市場:買い戻し条件付取引市場
長期金融市場(資本市場)
取引感が1年超の市場。
発行市場は投資家が発行元から最初に購入する市場
流通市場は投資家同士で売買する市場
株式市場
- 発行市場
- 流通市場:取引所取引が多い
公社債市場
- 発行市場:新発10年国債利回りなどがある
- 流通市場:取引所取引以外(店頭取引)が多い
2.景気指標・経済指標
代表的な景気・経済指標
- GDP・景気動向指数:内閣府が発表
- 日銀短観・企業物価指数・マネーストック統計:日本銀行が発表
- 消費者物価指数:総務省が発表
GDP(国内総生産)
一定期間内の国内経済活動で生み出された付加価値の総額で、一般に、伸び率が国の経済成長率を測る指標として用いられる。
なお、日本企業が国外で生産した付加価値は含まれない。
名目GDPから物価変動の影響を取り除いたものを実質GDPという。
民間最終消費支出(個人消費のこと)が最も大きい割合を占める。
景気動向指数
生産や雇用に関する指標等、景気に敏感な指標を統合したもの。
景気に先行して動く先行系列(東証株価指数、マネーストックなど)、
景気と一致して動く一致系列(有効求人倍率など)、
景気に遅れて動く遅行系列(完全失業率、家計消費支出、消費者物価指数など)、
以上の3つの系列に分類される。
景気判断は、景気変動の強弱やテンポ(動きの大きさや量感)を示すCI(コンポジットインデックス)、景気拡張の動きの波及度合いを測定するものとしてDI(ディフュージョンインデックス)が利用される。
雇用関連の指標
有効求人倍率
- 厚生労働省が発表
- 公共職業安定所(ハローワーク)に登録されている求人数を求職者数で除して求める
完全失業率
- 総務省が発表
- 労働力人口(15歳以上の人口のうち就業者と完全失業者を合わせたもの)に占める完全失業者の割合
日銀短観
日本銀行が毎年四半期ごとに全国の企業の業況を調査し、翌月初めに発表する。
業況が良いと判断した企業の割合から悪いと判断した企業の割合を差し引いたものを業況判断DIと呼ぶ。
業況判断DIは、下降になれば景気も後退局面。上昇すれば回復局面と判断される。
物価指数
消費者物価指数よりも企業物価指数のほうが短期的な変動が大きい(原材料価格や為替の変動が直接影響するため)
消費者物価指数
一般消費者が購入している財およびサービスの価格の動向を表す指数。総務省毎月発行。
企業物価指数
企業間で取引される財の価格の動向を表す指数
金融関連の指標
マネーストック統計
マネーストックとは通貨保有主体(法人・個人・地公体など)が保有する通貨量の残高を表すもの(銀行や政府は対象外)。
家計調査
景気動向を判断するために、消費者の意識の変化、サービス等の支出予定、主要耐久消費財等の保有状況および購入状況等について、内閣府が行う調査。
3.金利の変動要因
景気と金利の関係
景気が良くなると、企業は事業拡大したくなるのでお金を借りたくなる。それで金利が上昇する。
景気が悪くなると、企業は事業縮小傾向でお金を借りなくなる。それで金利が低下する。
物価と金利の関係
一般的に、
物価が上昇(インフレ)すると、金利も上昇、
物価が下落(デフレ)すると、金利も低下する。
(最近そうでもないような気もするんですけどね・・・。)
為替と金利
円安傾向だと輸入物価が上昇、つられて国内物価も上がり、国内金利も上昇する。
円高傾向になると輸入物価が下落、つられて国内物価も下がり、国内金利も低下する。
海外金利が下落すると円に買いが集まるので円高傾向となり、そのぶん国内金利は低下。
海外金利が上昇すると円から離れるので売りが増え円安傾向となり、その反発で国内金利は上昇する。
輸入企業は円高の方が有利。輸出企業は円安の方が有利になる。
深堀解説
この辺、ややこしいのでしっかり学習しましょう。
1$が90円の時と110円を比較すれば90円は円高です。
110円なんだからこっちが高いじゃぁんってなったらダメです。
為替というのは、1$紙幣を90円で買えるのか、それとも110円で買うのかってことなので、
より少ない、90円で買える時のほうが円の価値が高い、つまり円高という事です。
輸入企業が1$のポテチを輸入する時に、110円で仕入れるよりも90円で仕入れたいので円高の時が有利。
輸出企業が煎餅を1$で輸出したいときには90円で売るよりも110円の時に売りたいので円安が有利ということになります。簡単ですよね♪
4.金融政策
金融政策は、日本銀行が行う日本の金融市場や経済の安定・成長のために行う政策のこと。
公開市場操作
日本銀行が民間銀行に対して債券等を売買し、市中の資金量を調節すること
景気を刺激するなら金融緩和として買いオペ(資金供給)をし、
景気を抑制するなら金融引き締めとして売りオペ(市場資金吸収)をします。
日本銀行が供給する通貨量のことをマネタリーベースと言います。
外部リンク:内閣府GDP統計,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問①②は〇✕でお答えください。
問① 一般に、市場金利が上昇すると、それに伴い債券の利回りは上昇し、債券価格も上昇する。
問② 一般に、景気動向指数のコンポジット・インデックス(CI)の一致指数が上昇しているときは、景気の拡張局面といえる。
問③ 全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定する( )は、総務省が公表している。
- 景気動向指数
- 消費者物価指数
- 消費者態度指数
問④ 日本銀行の金融政策の1つである(①)により、日本銀行が金融機関の保有する有価証券の買入を行えば、市中に出回る資金量が(②)する。
- ① 預金準備率操作 ② 増加
- ① 公開市場操作 ② 増加
- ① 公開市場操作 ② 減少
問⑤ 一定期間内に国内で生産された財やサービスの付加価値の合計額から物価変動の影響を取り除いた指標を、( )という。
- 実質GDP
- 名目GDP
- GDPデフレーター
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解答
問① ✕ 問② 〇 問③ 2 問④ 2 問⑤ 1