障害給付・遺族給付|FP3級Wiki
障害給付は障害者の生活を守るための年金。遺族給付は働き手を失った家族を守るための年金です。
障害基礎年金と障害厚生年金の微妙な相違点が罠です。
1.障害給付
障害者への障害給付は、国民年金から障害基礎年金、厚生年金保険からは障害厚生年金が支給される。
受給要件と保険料納付要件(障害基礎・障害厚生年金共通)
- 原則、初診日に被保険者であること
- 保険料納付要件を満たしている事
- 障害認定日※に一定の障害に該当する事
※障害認定日とは、初診日から起算して1年6カ月を経過、もしくはそれより前に傷病が治ったならその日となる。
保険料納付要件
具体的には初診日の前日において、以下のいずれかの要件を満たすこと
- 初診日の属する月の前々月までの保険料納付済期間&保険料免除期間等の合計が、被保険者期間全体の3分の2以上ある事
- 初診日に65歳未満で、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間がないこと(2026.4.1前に限る)
年金額等
障害基礎年金
- 1級:老齢基礎年金の満額×1.25倍+子の加算額
- 2級:老齢基礎年金の満額+子の加算額
基準は老齢基礎年金の満額となり、そこに倍率や子の加算が加わる。
子とは、18歳到達年度末まで(1~2級の障害の子は20歳未満)の未婚の子。
障害厚生年金
- 1級:老齢厚生年金の報酬比例部分の額の1.25倍+配偶者加給年金額
- 2級:老齢厚生年金の報酬比例部分の額+配偶者加給年金額
- 3級:老齢厚生年金の報酬比例部分の額(配偶者加給年金は無し)
※老齢厚生年金の報酬比例部分の額(期間300月未満の場合は300月)
2.遺族給付
遺族基礎年金
支給対象遺族
死んだ人に生計を維持されていた、子のある配偶者または子に支給される。
支給期間
子の18歳到達年度末(1~2級の障害の子は20歳未満)まで
支給額
遺族基礎年金の年金額=老齢基礎年金の満額+子の加算
子の加算
令和6年度の加算額です。
- 1~2人目の子:1人につき234,800円
- 3人目の子以降:1人につき78,300円
遺族基礎年金以外の国民年金の遺族給付
国民年金の1号被保険者期間保有者が、年金支給を受けずに死亡した場合に、
一定の要件を満たせば寡婦年金or死亡一時金がもらえる。
このふたつは併給されず選択適用となる。
寡婦年金
死亡日前日に納付期間が10年以上ある夫と10年以上婚姻関係にあり、
扶養されていた妻に対して60~65歳到達までの期間支給される。
死亡一時金
保険料納付期間が3年以上の者が死亡し、遺族年金を受ける遺族がいないときに、一定の遺族に支給。
遺族厚生年金
厚生年金保険の被保険者(在職中)が死亡した場合や、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した場合に、
その者に生計を維持されていた一定の範囲の遺族に支給される。
支給対象遺族
死亡者に生計を維持されていた以下の者で、順位が決められている。先順位の者が受給する場合はそっちが優先。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
兄弟姉妹は含まれません!
支給額
遺族厚生年金の年金額=老齢厚生年金の報酬比例部分の額×4分の3
※在職中死亡で納付300月未満の場合は300月分を保証
※子のない30歳未満の妻は、5年間の有期年金。
遺族厚生年金の加算
中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金が加算されない「子のない妻」の遺族厚生年金不足を補うもの。
妻が自身の年金を受け取ることになる65歳に達するまで加算が継続する。
逆に、遺族基礎年金が受け取れる間は、中高齢寡婦加算は支給停止される。
- 夫の死亡時、妻が40歳以上で子がいない場合
- 夫の死亡時に子がいたが、子が18歳到達年度を過ぎ、妻が40歳以上の場合
※中高齢寡婦加算は遺族厚生年金に加算される
経過的寡婦加算
経過的寡婦加算は寡婦(未亡人)の救済目的として65歳以後上乗せ給付する制度ですが、経過的というだけあって、
この制度はいずれ無くなる制度です。参考まで。
- 1956年4月1日以前生で65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生した妻
- 中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生の遺族厚生年金の受給権者(妻)が65歳に達した時
外部リンク:日本年金機構,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問③のみ〇✕でお答えください。
問① 厚生年金保険の被保険者である夫が死亡し、子のない45歳の妻が遺族厚生年金の受給権のみを取得した場合、妻が65歳に達するまでの間、妻に支給される遺族厚生年金に( )が加算される。
- 中高齢寡婦加算額
- 加給年金額
- 振替加算額
問② 遺族厚生年金の額(中高齢寡婦加算額および経過的寡婦加算額を除く)は、原則として、死亡した者の厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( )に相当する額である。
- 2分の1
- 3分の2
- 4分の3
問③ 子のいない障害等級1級に該当する者に支給される障害基礎年金の額は、子のいない障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額の1.25倍に相当する額である。
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解答
問① 1 問② 3 問③ 〇
寡婦って言葉が聞き馴染みないけど、
未亡人の事なのよね。
FPの勉強は日本語がむずかしい(-_-;)