財産評価ではさまざまな財産の値段をつける方法を学びます。FP3級では宅地、建物、金融資産を学びます。
宅地の評価
評価方法には路線価方式と倍率方式があり、国税局長が指定している。主に都市部は路線価方式、郊外は倍率方式。
1.路線価方式
道路ごとに付された路線価額(1㎡あたり千円単位)に基づき、道路に面した宅地を評価する。宅地の形状等による補正を行って計算する。路線価は路線価図として公表されている。
2.倍率方式
評価額=固定資産税評価額×国税局長の定めた倍率
路線価が無い地域は倍率方式になる。
宅地の上に存する権利の評価
自用地
自宅敷地や更地、青空駐車場、自己の事業所の敷地、使用貸借により貸し付けている敷地など。 評価額は先述の宅地の評価方法となる。
普通借地権
建物所有を目的として土地を借りている人の借地権の評価。
評価額=自用地評価額×借地権割合
貸宅地
借地権が設定されている土地の評価。
評価額=自用地評価額(1-借地権割合)
貸家建付地
宅地所有者が建物を建て、建物を貸し付けている場合の宅地(賃貸アパートの敷地など)の評価。
評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※借家権割合は全国一律30%
小規模宅地等の相続税の特例
相続または遺贈により親族が取得した宅地等で、被相続人等の居住用または事業用に供されていた宅地等は、一定の要件のもと、一定の面積まで80%または50%の評価減が認められる。
- 贈与での取得では評価減を受けられない
- 更地では評価減を受けられない
相続開始直前の利用区分 | 要件 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|---|
居住用 | ・特定居住用宅地等に該当 | 330㎡ | 80% |
事業用(貸付事業以外の事業用) | ・特定事業用宅地等に該当 ・特定同族会社事業用宅地等に該当 | 400㎡ | 80% |
事業用(貸付事業用) | ・貸付事業用宅地等に該当 | 200㎡ | 50% |
- 原則、取得した者が申告期限まで所有し続け、居住や事業を継続しなければならない。
- 被相続人の居住用宅地等を配偶者が取得した場合は所有・居住継続の要件を問わず適用を受けられる。
- 適用を受けるには相続税の申告が必要。
- 特定居住用宅地等と特定事業用宅地等は完全併用できる(330+400=730㎡)。
- 貸付事業用宅地等と併用する場合は、一定の面積調整が必要。
建物の評価
自用家屋
自用家屋の価額=固定資産税評価額
貸家
貸家の価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
金融資産等の評価
生命保険契約に関する権利
生命保険の権利額は課税時期の解約返戻金相当額 (生命保険の権利額とは、被保険者が生存中で保険料負担者が先に死亡した場合の保険の評価額)
上場株式・ETF・J-REIT(不動産投資信託)
次の中から最も低いものとなる。
- 課税時期のその日の終値
- 課税時期の月の当月の毎日の終値の平均
- 課税時期の月の前月の毎日の終値の平均
- 課税時期の月の前々月の毎日の終値の平均
取引相場のない株式
取引価格がないので、株主を同族株主等と同族株主等以外に区分して、それぞれの評価方法を採用する。
原則的評価方式
同族株主等の取得した株式はこちらの方法。
類似業種比準方式 | 上場している類似業種の株価をもとに、配当・利益・純資産の3要素を比準して評価する。 |
純資産価額方式 | 評価会社を解散した場合の純資産価額をもとに評価する。 |
併用方式 | 上記の2方式を、会社規模ごとに定めた一定の割合で併用し、足し合わせる評価方法。 |
配当還元方式(特例的評価方式)
非同族株主等の取得した株式は配当還元方式(特例的評価方式)になる。
配当還元方式とは、過去2年間の配当金額を10%の利率で還元して元本である株式の価額を求めようとする方式。
基本的に原則的評価方式より低くなるが、もし原則的評価方式のほうが高くなればそちらを採用する。
外部リンク:国税庁,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問②④は〇✕でお答えください。
問① 賃貸アパート等の貸家の用に供されている家屋の相続税評価額は、( )の算式により算出される。
- 自用家屋としての評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
- 自用家屋としての評価額×(1-借地権割合×賃貸割合)
- 自用家屋としての評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
問② 取引相場のない株式の相続税評価において、同族株主以外の株主等が取得した株式については、特例的評価方式である配当還元方式により評価することができる。
問③ 2021年9月2日に死亡したAさんが所有していた上場株式Xを相続により取得した場合の1株当たりの相続税評価額は、下記の(資料)によれば、( )である。
(資料)上場株式Xの価格
2021年7月の毎日の最終価格の平均額 | 850円 |
2021年8月の毎日の最終価格の平均額 | 950円 |
2021年9月の毎日の最終価格の平均額 | 1,000円 |
2021年9月2日の最終価格 | 1,000円 |
- 850円
- 900円
- 1,000円
問④ 相続税の計算において、被相続人が所有している宅地に被相続人名義の賃貸マンションを建築して賃貸の用に供していた場合、当該宅地は貸宅地として評価される。
問⑤ 国税庁が公表している路線価図において、路線に「300C」と付されている場合、「C」の記号は、借地権割合が()であることを示している。
- 60%
- 70%
- 80%
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解答
問① 1 問② 〇 問③ 1 問④ ✕ 問⑤ 1