遺言|FP3級Wiki
この項目では、相続人の範囲や法定相続分、遺言書の制度などが出題されます。
相続
相続とは、人の死亡により、その死亡した者(被相続人)の所有していたすべての財産(相続財産)を相続人に承継することを言う。
相続人・法定相続分
被相続人の相続財産を引き継ぐことができる一定範囲内の人の事を相続人と呼ぶ。
被相続人に配偶者がいる場合、その配偶者は必ず相続人になり、
配偶者以下、血族関係者は次の優先順位に従って相続人となる。
法定相続分と言うのは民法では一応、遺言とかがなければこの通り分けてねっていうのを示したものなのですが、この通りに必ず分けなきゃいけないというものではありません。相続税の計算の基礎となったり、相続人に権利としてある遺留分を定める役割もあります。
相続人 | 法定相続分 | |
---|---|---|
第1順位 | 配偶者と子 | 配偶者:2分の1 子:みんなで2分の1 |
第2順位 | 配偶者と直系尊属(父母(いなければ祖父母)) | 配偶者:3分の2 直系尊属:みんなで3分の1 |
第3順位 | 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者:4分の3 兄弟姉妹:みんなで4分の1 |
- 子は養子、嫡出子、非嫡出子も含まれ、すべて同順位で相続分も同じ。
- 同順位が複数いる場合(子が3人など)は、原則均等按分(3人なら3等分)。
- 配偶者がいない場合は先順位の相続人たちがすべてを相続する(子なら子)。
代襲相続
代襲相続人
相続開始時において、本来相続人となるべきものがすでに死亡している場合、または欠格や廃除で相続権を失っている場合は、その者の子が相続人(代襲相続人)となる。
相続放棄については代襲相続は適用されない。また、代襲だからといって相続分が減らされることもない。
養子縁組
普通養子縁組 | 特別養子縁組 | |
親子の関係 | 実親との親族関係は継続する(相続権が残る) 普通養子の相続権は代襲されない。 | 実親の親族関係が終了する(実親の相続権を失う) |
相続の承認と放棄
相続人は限定承認か相続放棄をする場合は、相続の開始があったことをした時から3ヵ月以内に決め、その意思表示を家庭裁判所に申述する必要があります。期間内に意思表示しない場合は、単純承認したものとみなされます。
単純承認
被相続人の積極的財産や消極的財産のすべての財産を無条件で相続すること。債務も含めてすべて。
限定承認
積極財産の範囲内で消極財産である負債を支払い、積極財産を超える消極財産は引き受けない相続の方法。
手続きの方法は、相続を知った時から3か月以内に相続人全員(放棄者を除く)が家庭裁判所へ申述する。
相続放棄
相続放棄は、放棄者は初めから相続人でなかったものとされる。 そのため、相続放棄者の代襲はない。
(欠格や廃除の場合は代襲が存在する)
手続きの方法は、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する。放棄は単独で申述できる。
遺産分割の方法
遺産分割とは、相続人全員で受け取る相続財産(共有財産)を各相続人に具体的に配分していくこと。
指定分割、協議分割、調停分割、審判分割がある。
分割手続
- 指定分割:遺言により分割方法を指定
- 協議分割:共同相続人全員の協議により全員の合意で成立する
- 調停分割:家庭裁判所の調停のもと、協議する
- 審判分割:家庭裁判所の審判により分割
分割方法
- 現物分割:相続財産をそのまま分ける方法
- 換価分割:財産を処分して現金化して分ける方法
- 代償分割:自分の相続分を越えて遺産を取得した者が、その代償として自己の固有財産を他の相続人に支払う方法
※代償分割は土地や会社など分割が難しい財産の時に有効な方法。
遺言・遺留分等
遺言とは、遺言者の最終意思表示で、遺言者の死亡によりその法律効果が発生する。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
全文の記入者 | 本人(代筆不可) 財産目録はパソコン可 | 公証人 (本人から口授) |
署名・押印 | 本人 | 本人・証人・公証人 |
証人・立会人の要否 | 不要(秘密にできる) | 証人2人以上 (推定相続人等はなれない) |
家庭裁判所の検認 | 要※ | 不要 |
相続人の遺留分
遺留分とは、相続人に法律上保障された一定の割合の相続財産のこと。遺留分は一定の贈与や遺贈に優先される。
もしも侵害された場合は遺留分侵害額請求権を行使し、侵害額について金銭の支払いを請求できる。
遺留分権利者
権利者は相続人であり、配偶者、直系尊属、子(代襲含む)であること。(兄弟姉妹には権利がない)
遺留分の割合
相続人が直系尊属だけ(配偶者もいない)の場合は基礎財産合計の3分の1、それ以外の場合は2分の1が遺留分の総額となる。
成年後見制度
成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度と2種類ある。
法定後見制度は心身に障害のある成年者が通常の生活を営むために援助を提供する制度。
判断力の程度に合わせて3種類(後見・保佐・補助)存在する。
それぞれ本人の意思の尊重と心身の状態および生活の状況に配慮する義務を生ずる。
外部リンク:国税庁,法務省,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。
問④以外はすべて〇✕でお答えください。
問① 自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに押印して作成するものであるが、自筆証書に添付する財産目録については、自書によらずにパソコンで作成しても差し支えない。
問② 養子には、普通養子と特別養子があり、普通養子は養子縁組により実方の父母との親族関係が終了しない。
問③ 被相続人Aさんの相続人が妻Bさんと母Cさんの計2人である場合、妻Bさんの法定相続分は3分の2である。
問④ 遺留分算定の基礎となる財産の価額が1億2,000万円で、相続人が被相続人の配偶者、長男、長女および二女の合計4人である場合、二女の遺留分の金額は、( )となる。
- 1,000万円
- 2,000万円
- 3,000万円
問⑤ 公正証書遺言の作成においては、証人の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人はその証人となることができない。
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解答
問① 〇 問② 〇 問③ 〇 問④ 1 問⑤ 〇
自筆証書遺言については、財産目録がパソコン作成可となったり、法務局で保管してくれるようになったりと便利になってきているのは旬な事項です。
今後も出題される可能性があるので押さえておきましょう。