生命保険に関する本当に基本的な知識です。生命保険募集人の試験にもこういうのが出てきますね。

1.生命保険の仕組み

預金などは1契約につき権利者(名義人)は基本1人だが、生命保険は1契約に複数人の契約関係者が存在する。

  • 契約者:保険会社と契約し保険料を負担する者。契約の権利者となる。
  • 被保険者:保険の対象となる者。保障の対象者。
  • 保険金受取人:保険会社から保険金等を受け取る人。

また、お金の動きも預金などとは違い役割ごとに分かれる。

  • 保険料:契約者が保険会社に払うお金。
  • 保険金:保険会社が保険金受取人に払うお金。
  • 責任準備金:保険会社が将来の保険金のために備えておくお金。

2.生命保険の保険料

保険料の仕組み

保険料の算出は以下の2つの法則に基づいている。

  • 大数の法則:突然の事故等であっても大量に集計することで発生率として予測できるようにする事で備える。統計的。
  • 収支相等の原則:保険会社の保険料収入と保険金支払いの総額がイコールになるように算定する。

保険料の中身

契約者が支払う保険料は、主に保険金を払うための財源である純保険料と、保険会社が契約を維持管理するために使用する付加保険料の2つで構成されている。

  • 純保険料:予定死亡率予定利率に基づき計算される。
  • 付加保険料:予定事業費率に基づき計算する。
この3つの率を予定基礎率という。
       

予定基礎率

予定死亡率ある年齢性別の人が1年間に死亡する確率。上がると生命保険は高くなり、年金保険は安くなる
予定利率あらかじめ見込んだ運用益を加味した割引率。上がれば保険料は安くなる
予定事業費率保険事業の運営上必要になる経費の率。上がると保険料は高くなる

保険料の払込方法

払込み方法はさまざまある。全般的に先にたくさん払えば安くなる。

  • 月払、半年払い、年払い:毎月、半年ごと、1年ごとに払い込む方法。未来の部分については先払いになり、割引などもある。
  • 全期前納払い:上記の払い込みの概念で、全期間を一括で払い込む方法。割引も大きくなる。解約時に未経過分は戻る。
  • 一時払い:契約時に一括で払い込む。前納と違い、解約時は定められた解約率で返戻金が計算される。

条件が同一の保険だった場合、払込期間が終身のタイプと有期のタイプを比較すると有期払込のほうが月の保険料は高くなる。

保険料の払込期限と払込猶予期間

払込猶予期間を過ぎ、自動振替貸付制度を適用できない契約は失効する。失効後は保障がなくなる。

一般的な払込期限
  • 月払契約:毎月の契約応当日のある月の初日から末日
  • 半年払・年払:半年、1年ごとの契約応当日のある月の初日から末日まで
一般的な払込猶予期間
  • 月払契約:払込期月の翌月初日から末日
  • 半年払・年払:払込期月の翌月初日から翌々月の契約応当日まで

ただし、失効後には復活する手続きもある(次項)。

       

3.契約手続・約款

契約者貸付制度

貸付は解約返戻金の一定範囲内から借入をし、契約中に返済する。利息もある。保険金が支払われる際は相殺される

自動振替貸付制度

払込猶予期間が経過すると自動的に解約返戻金の範囲から保険料を立て替える。生命保険料控除には影響なくしっかり受けられる。 保険金が支払われる際は利息も含めて相殺される。

       

契約の失効と復活

失効しても一定期間内のうちに再度告知や診査を行い、失効期間の保険料を払い込むことで契約を復活させることができる。
保険料は失効前と同額のままとなる。

払済保険・延長保険

保険料払込期間の途中で保険料の支払をやめて、その時点での解約返戻金を一時払保険料に充てて保障を継続する。払済、延長ともに、ほとんどの場合特約は消滅する。

保険期間保険金額変更後の保険種類
払済保険原則変わらない小さくなる元の保険と同じ、もしくは
終身保険や養老保険
延長保険原則短くなる変わらない定期保険
払済保険の場合、リビングニーズは継続する
       

契約転換制度

現契約の積立部分等を下取りし、新たな契約にする制度。下取りした転換価格が新契約に充当されるため、通常の新規契約よりも保険料負担を軽くできる。告知や診査が必要で、保険料には転換時現在の年齢や料率で再計算される。

減額

保険金額を下げる制度。下げた分の保険金額は一部解約の扱いとなるので、解約返戻金が発生すれば支払われる。減額した分保障は小さくなるが保険料を抑えることができる。

外部リンク:㈳生命保険協会,スタディング FP講座

       

それでは過去問を解いてみましょう。

問③以外は〇✕でお答えください

問① 生命保険の保険料のうち、将来の保険金等を支払うための財源となる純保険料は、予定死亡率および予定事業費率に基づいて計算される。

問② 入院特約が付加されている終身保険を払済保険に変更した場合、その入院特約は消滅せずに保険期間満了まで有効である。

問③ 生命保険契約における自動振替貸付制度とは、保険料の払込みがないまま保険料の払込猶予期間が経過した場合に、その契約の(①)の範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替えて契約を有効に継続する制度であるが、自動振替貸付によって立て替えられた金額には、利息が(②)。

  1. ① 責任準備金  ② 発生しない
  2. ① 解約返戻金  ② 発生しない
  3. ① 解約返戻金  ② 発生する

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解答

問① ✕ 問② ✕ 問③ 3

助手ウィキ子

問①は予定死亡率と予定利率ですね。
問②、払済保険にしちゃうと基本的に特約は消滅しちゃうのよね。
問③は解約返戻金の範囲で貸付されるの。利息も取られます。
自分のお金なのにーー!(ノД`)・゜・。